来年の利上げが不安視されてドル安が進行(12/3-12/7まとめ)

今週の為替(FX)市場についてまとめました。

今週起こった出来事やニュース、それをもとに来週以降の相場について自分の見解を予測しています。リアルタイムの為替(FX)のニュースについてはTwitterにて発信しています。

今週の相場の振り返り

11月30日・12月1日開催のG20と米中首脳会談を終えましたが、米国が実施を示唆していた関税第四弾は行なわれず、1月に予定されていた中国に対する関税引き上げの延期も発表されました。

先週末から今週にかけてのドル円チャート

これが日米貿易摩擦の緩和に向かうと捉えられたことから、週前半は中国と関連の深い豪ドルなどが買われるとともに、円安が進行してドル円は113.75まで上昇する場面がみられましたが、その流れは継続しませんでした。
ドル円は週の高値から1.5円以上安い112.23まで売られる場面もあり、最終的に前週末から90銭近く安い112.67で週の取引を終えました。

今週のドル円下落は以下の二つの理由によるものです。

①:米中貿易摩擦懸念から世界的に株安が進行

12月5日水曜、中国の大手通信会社のファーウェイのCFOである孟晩舟氏が、制裁先のイランとの取引の疑いがあるとのことから、米国の要請によって滞在先のカナダで逮捕されました。
米国の中国に対する経済干渉とも捉えられることから米中の貿易摩擦懸念が更に高まることとなり、世界的に景気後退懸念が広がって週後半は株価が下落する展開となりました。
そして、リスクオフの動きを受けて円高が進行することとなりました。

②:やや弱い雇用統計とFRB高官からの相次ぐハト派発言で来年の利上げ期待低下

12月7日金曜に発表のあった11月の米国政府雇用統計は、非農業部門雇用者数変化が予想20.0万人増加に対して、15.5万人増加と予想を下回り、市場が最も注目する平均時給も前月比+0.3%予想に対して+0.2%という数字が出てきたようにやや弱い結果となりました。

また、前の週にパウエル議長から「現在の政策金利は中立金利をわずかに下回っている」と発言があり、今から多くの利上げをする事はないと市場に解釈されて、利上げ期待の低下からドルが売られる展開になりました。
今週もその流れを継続して、何人かのFRB高官からの発言において、今後の利上げペースは鈍化するとの見解が示されていました。

弱い雇用統計、そして今後の利上げに積極的ではないFRB高官の発言が材料視されて、市場参加者の来年以降の利上げ期待が大きく低下しました。
再来週のFOMCで今年4回目の利上げを実施すると見込まれてはいるものの、来年は1回出来るかどうかと現在考えられています。

今年の一時期には来年は2-3回の利上げがあるものと見込んでいた人達が多かったことを考えると、かなり利上げ期待は冷え込んだと言えます。
利上げの実施は投資魅力の向上からドル買い要因となりますが、逆に利上げ期待の剥落はドル売り要因となります。

利上げと投資魅力の相関関係
これらが今週のドル安、そしてドル円の下落の要因となりました。

来週以降の相場見通し

来週の最大の注目材料は、12月11日火曜日に行なわれる英国議会のEU離脱案の採決だと思います。
11月にメイ首相はEUサイドとEU離脱合意草案を締結したものの、これが英国の議会で承認されなければ、本当の意味での合意には至りません。

そのため、メイ首相はこの案を議会で通したいと考えてはいますが、現在の英国議会では閣僚が何人も辞めたことが物語っているように、メイ首相に反対する勢力が非常に多く、この案が11日に議会を通る可能性は低いと言われています。
否決されるのを恐れて、メイ首相が12月10日月曜日に採決の実施を延期してEUと再交渉する可能性も指摘されていますが、来週はポンドのボラが高くなることは必至だと思います。

そして、英国のEU離脱が好転してポンドが買われる可能性よりも、悪い方向に進んでポンドが売られる可能性を警戒した方が良いと思います。

また、引き続きユーロもイタリアの予算案の問題で上下に揺れる可能性は高いと見ています。
当初イタリア政府が提案した予算案は財政赤字目標が大きくなりすぎていたため、EUからダメ出しを食らい、最近になってイタリアの政権が予算案を修正して提出する動きも出てきましたが、まだどうなるかわかりません。

現在の予算案をそのまま通過させる流れになったり、イタリア国内で反EUの声が高まったりすると、政治不安や財政懸念から大きくユーロが売られる可能性があります。
来週以降もこのイタリアの来年度予算問題は相場の大きな変動要因になると思います。

来週の米国はFOMC前週ということで、FRB高官の発言はブラックアウト期間となり行なわれません。
そして水曜日に消費者物価指数が発表されますが、これは市場へそこそこ影響があると思います。
経済指標の結果次第で来年以降に利上げが実施できるかどうかの観測が上下して、ドルも動きやすい展開が続くと思います。

個人的な相場観

先週にここで書いた通り、ドル円はクリスマス休暇までは112-114円を広いレンジとして、狭くは113円を挟んで上下に50銭ぐらいのレンジでもみ合う方向感のない展開を予想しています。

9月下旬から長い間ユーロドルの下落予想を継続してきましたが、現在はそこまで弱気ではないので目線はニュートラルです。

ポンドドルは上下どちらに動くかは上述の英国議会の動向次第と考えていますが、年初来安値の少し下の1.265あたりを下に抜けると下落が止まらなくなる可能性が高いと考えています。
1.264付近まで到達したら逆指値的にショートするつもりです。