今週の為替(FX)市場についてまとめました。
今週起こった出来事やニュース、それをもとに来週以降の相場について自分の見解を予測しています。リアルタイムの為替(FX)のニュースについてはTwitterにて発信しています。
今週の相場の振り返り
経済指標など大きな材料は少なかったものの、相場はそこそこ動く1週間となりました。
週を通してドルが主要な様々な通貨に対して小幅上昇して、ユーロやポンドは値を切り下げる展開になりました。
ドル:週前半に買われるもパウエル議長の発言により反落
ドルは週前半には買われる展開となりました。
ドル円は112.90付近で週の取引を始めたのですが、11月28日の水曜日には114.03までドル高円安が進みました。
しかし、この日の米国時間のパウエルFRB議長の発言によって相場は一変しました。
パウエルFRB議長は、
「現在の政策金利は中立金利をわずかに下回っている」
との発言を行ない、これがハト派に解釈された結果、様々な通貨に対してドル売りが大きく進みました。
この発言の後、ユーロドルに関しては1.127付近から1.140まで130pipsドルが売られて、ドル円も114円付近から113円前半まで急落する動きを見せました。
この発言でなぜドルが売られたのかを解説すると、
パウエル議長は10月までは、現在の政策金利は中立金利までまだ距離があるような発言を行なっていました。
すなわち、まだ中立金利になるまでは利上げを断続的に行なうと市場には解釈されていました。
しかし、今回の発言は中立金利までの距離が小さいことを示唆しており、これからは利上げを積極的に行わないと解釈されたのです。
そのため2019年以降の利上げペースが鈍化、あるいは利上げの停止時期が近いとの思惑の元、ドルは売られる展開となりました。
ユーロ:イタリアの来年度予算案問題が上値を重くしている
ユーロは消費者物価指数など、発表されたインフレ指標は横ばいのものが多く、相場への影響は限定的でしたが、やはり秋以降に続いているイタリアの来年度の予算問題が上値を重くしました。
週初は、EUから要求された10月に提出した予算案の修正に応じるような姿勢をイタリア政府が示したことから、ユーロが買われる場面もありました。
しかし、週後半にかけては現在の与党である同盟・五つ星運動の議員からの反EU的な発言や、予算案で妥協しないスタンスの発言が相次いだことから、ユーロは売りが進む流れとなりました。
ポンド:EU離脱草案に合意したとの報道から一時買い進められるも、勢いは続かず
前週にEUと英国間でEU離脱に関する草案に合意したとの報道から、一時ポンドが買い進まれる場面こそありました。
しかし、最終的には英国議会がこの草案を承認しないと英国のEU離脱は合意には至りません。
12月11日に英国議会がこの草案の採決を行なう予定になっているのですが、今週も英国の議員は草案合意に関してポジティブな反応はしませんでした。
メイ首相に対しては引き続き不信任案を要求する声も小さくはないことから、なかなかポンドは買われる地合いにはならなかったのだと推測されます。
来週以降の見通し
年内は、ドル円は広くは112-114円のレンジ、狭くは113円を挟んでもみ合うような方向感のない展開を予想しています。
一時期に比べてドル円のボラティリティが低下しており、今のチャートの形と置かれたファンダメンタルズを考えるとボラも中々高まりにくく、日々日々、狭い値動きしか期待できないように思えます。
ユーロとポンドは来週は下落しやすいと思うので、ショート中心にポジションメイクしていこうと考えています。
ポンドに関しては、再来週12/11の英国議会の離脱草案の採決によっては上昇する可能性がありますが、来週は下がりやすいと予想しています。
ユーロに関しては、9月下旬から述べている通りの下落目線を現在も継続しています。
来週のみならず、クリスマス休暇に入る12/21まで、年内は基本的に下がると考えています。