グローバルリスクオンの中で円安継続/日米貿易摩擦懸念が高まらなければ円安は継続か(9/17-9/21まとめと翌週の予想)

今週の為替(FX)市場についてまとめました。
今週起こった出来事やニュース、それをもとに来週以降の相場について自分の見解を予測しています。リアルタイムの為替(FX)のニュースについてはTwitterにて発信しています。

9/17-9/21の為替相場

直近3カ月のドル円チャート

世界的にリスクオンな1週間でした。
米国を中心に株高が進行して、日経平均株価も前週末から750円の上昇しました。
ドル円も週初に112円付近でしたが、一時は112.87まで上昇して112.60付近で週末を迎えて、50銭以上上昇する1週間になりました。

ドル円の上昇要因はこのグローバルなリスクオンと言うのももちろんありますが、個人的には様々な通貨が個別の要因で買われる中、円だけが取り残されたというのが一番の要因だと考えています。
それでは、この1週間の相場を振り返っていきたいと思います。

なお、今回の記事には金利や利上げやインフレといった言葉がよく出てきます。
下記の記事において詳細にわかりやすく説明をしていますので、何を言っているのかちょっと分からない!という方は一読しておくと理解が深まると思います。

利上げすると為替はどう動くかについて解説

米ドルは強烈なインフレ期待と利上げ期待で堅調に推移

ここ6カ月の米10年債金利チャート

上記は米国10年国債のチャートです。
現在5月中旬以来の水準まで金利上昇しています。

米金利の上昇は米国投資の魅力の向上を意味していることから、米ドルの上昇要因になります。
9月7日の雇用統計で平均時給がリーマンショック以降で最も強い数字となり市場予想を大きく上回ったことに加え、直近の原油高もあって、米国のインフレ(物価上昇)期待が今月になって大きく上がっています。
それにつれて、市場が織り込む利上げ期待も大きく高まっています。

こういった状況が足下のドルを堅調に推移させる要因になったのだと思います。

ユーロが大きく上昇した1週間

直近1ヶ月のユーロドルチャート

今週、特に大きく上昇した主要通貨はユーロです。
ユーロドルは週初1.16前半でしたが、1.175付近で週末を終えて、対ドルで大きく上昇する1週間になりました。

前週のECB理事会における、ドラギ総裁の将来のインフレ上昇に関する自信あふれる発言は市場にタカ派に解釈されました。
今週もECBの中でも政策決定などにおいて発言権が非常に強いプラート専務理事が、来年秋以降の利上げ後に金融政策をどのように運営していくのかに関して発言を行なうと、これもタカ派に解釈されユーロ買いの流れになりました。

インフレ期待が今週のユーロを押し上げる要因になっています。
夏以降、市場はユーロ圏の将来のインフレや利上げ期待に対して悲観的になり過ぎていましたが、前週に続き、そこから巻き戻しが入るタイミングになっているのだと思います。

ポンドも大きく買われる場面がみられたが、メイ首相の発言で押し戻された

直近1ヶ月のポンドドルチャート

今週はポンドが大きく上昇する場面が見られました。

上記の米国や欧州同様に英国もインフレ期待が向上したことから、来年夏の利上げ期待が上昇したことが一番の理由だと思います。
19日水曜日、20日木曜日と発表された英国の消費者物価指数と小売売上高は共に市場予想を上回る強い結果になりました。
英国のファンダメンタルズに対する悲観論が夏から広がっていましたが、今週のこの二つの指標の数字により、その悲観はやや後退してきたように感じます。

これらの良好な指標の結果を経て、前週末に1.307付近だったポンドドルは一時は1.330付近まで上昇しましたが、週末にメイ首相の発言でその上げ幅を失いました。

まず、7月ぐらいから「合意なきEU離脱」のリスクが話題になっています。
(詳細は下記のリンクを参照ください)

この1ヶ月はEUが英国に歩み寄るような姿勢も多く見られて、英国・EU間の合意が無事に進むという安心感が広がっていました。
今週前半もEU、そして英国の両サイドから英国のEU離脱交渉に関する楽観的な発言が出てきました。

しかし、「英国領北アイルランドをEUに留めるべき」というEU側の主張に対して、週後半にメイ首相が反対の立場を改めて表明したことから、ポンドドルは21日金曜日に200pips以上売られました。

様々な通貨が買われる中で、取り残された日本円

上で書いてきたとおり、米ドル・ユーロ・ポンドなど様々な通貨がファンダメンタルズの改善により物価の上昇が期待されて、買われる場面がありました。

主要通貨以外でも、南アフリカランドが金融政策決定会合において、政策金利の現状維持を決定したものの、利上げ支持者が予想よりも多かったことにより大きく買われたり、利上げしたノルウェークローネが買われたりと様々な通貨が買われました。

しかし、日本円は引き続き、物価上昇率は目標の年率2%の上昇には程遠いことから、日本銀行は現在の低金利政策をまだまだ継続することが見込まれています。

他の国の金利が上昇する中で、日本銀行の金融政策により金利の上がらない日本への投資魅力が相対的に下がっていることから、円は他の通貨に対して出遅れた1週間となりました。
これにより今週はドル円、そしてそれ以上にクロス円が大きく上昇しました。

来週の為替相場

ドル円・クロス円は基本的に上昇が継続すると予想

来週も円安は継続すると思います。ドル円もクロス円も上昇する可能性が高いと考えていますが、一つだけリスクシナリオがあると考えています
それは日米貿易摩擦懸念が高まってしまうことです。

2週間前に、米国のトランプ大統領は米国の対日貿易赤字を削減出来るように日本に求めていくと発言を2度行ないました。
それ以降、このことはあまり話題になっていませんが、いつ再び盛り上がるかは分かりません。
米国が日本に対して貿易赤字削減を要求する際には、ドル円の為替レートをもっと円高になるように求めてくる可能性も高いと思います。

もしこのような事態になれば、現在の円安の流れは止まってしまう可能性があります。
今週26日に日米首脳会談が行われますが、この時にもし貿易問題が大々的に取り沙汰された場合には、円高方向に大きく動く可能性があるので、これには注意が必要と考えています。

また、今週は同じく26日に米国でFOMCが行なわれます。
今回の会合で米国が今年3回目の利上げを行なうことは市場が完全に織り込んでいることから、これが為替を大きく動かす可能性は低いと思います。

最大の注目は、その後のパウエル議長の記者会見と、FOMCに参加しているボードメンバーの将来の政策金利の予測であるドットチャートです。
ドットチャートにおいて、前回6月のFOMCの時よりも来年の利上げ予想回数が上振れするようなことがあれば、これはドル高につながると思います。