トルコリラいつ下げ止まる?イタリア・英国も課題山積み!【8/6-8/10まとめと翌週の予想】

今週の為替(FX)市場についてまとめました。

今週起こった出来事やニュース、それをもとに来週以降の相場について自分の見解を予測しています。リアルタイムの為替(FX)のニュースについてはTwitterにて発信しています。

 

8/6-8/10の為替相場まとめと来週の予想

夏枯れ相場という言葉があるように、今週から市場参加者が世界的に減っている中、為替相場は大きく動く1週間になりました。

ドル円は市場予想を小幅下回る雇用統計が出て、111円20銭付近で前週の取引を終えていましたが、今週は様々なリスクオフ材料が出てくる中で円が買われる展開になり一時は110.50付近まで下落、110.80付近で週の取引を終えました。

 

リスクオフの中でドル円も動いてはいたものの、リスクオフの震源地の通貨はもっと動きました。
ユーロドルにポンドドルは、前週末それぞれ1.156、1.300付近に位置していたが、現在は1.141、1.277付近まで売り込まれています。

今回は震源地となった

  • トルコ
  • イタリア
  • イギリス

の3カ国に関して、現状をまとめて話ししたいと思います。

 

世界を揺るがしたトルコショック

今週、最も為替市場を大きく動かした要因はトルコリラの急落です。

トルコといっても、エマージング国(新興国)であり、世界の主要先進国通貨に対する影響はあまりないように思う人も多いかもしれませんが、そんな事はありません。

特に動いた8月10日水曜日のマーケットを振り返ってみると、

 

トルコリラが大量のロスカットを巻き込み大暴落した

トルコリラ売りの反対通貨でドルが瞬間的に大きく買われた

ドル急騰により、ユーロドルやポンドドルやオージードルが急落、
これらも大量のロスカット売りを巻き込み様々な通貨の大暴落相場に繋がった

 

こういう展開になってしまったんだと思います。

さて、それではトルコリラの話に移ります。下記チャートのように今週は大きく下落する展開になり、トルコリラの年初来からの下落率は40%超になっています。

TRYJPY(日足)

もともとトルコリラが売られていた理由は、現在政権を担っているエルドアン大統領の政治に対する警戒感です。

エルドアンは国民の支持率は非常に高く、今年の6月に大統領選挙で再選をしています。

国民が彼を支持する理由の一つに彼がトルコの経済を大きく成長させたことが挙げられます。しかし、彼は積極的に財政出動を行なう人物であり、トルコの債務はここ数年で大きく拡大しています。また、トルコは物価が年15%近いペースで上昇していて、この高インフレを抑え込むことが出来ていません。

財政が拡大することと、インフレ率が過度に高まることは、トルコリラの価値を押し下げます。今後もエルドアンが今後も中枢で権力を持ち続けるならば、この状況は改善せずにますます悪化すると予想されることから、トルコリラが売られる原因になっています。

 

また、最近トルコは米国と関係が悪化しています。

理由は先月、トルコ国内に在住する米国人牧師アンドルー・ブランソン氏がテロ組織を支援しているとの疑いからトルコ政府に拘留されていることによるものです。

これに対して米国は反発し、トランプ大統領が主導して、トルコに対して経済制裁を課すという手段を打ちました。10日金曜日には、トルコから米国に輸出される鉄鋼やアルミニウムの関税を2倍にするなど、経済面での攻撃を更に強めています。

このような米国との関係の悪化は当然、国の経済を弱体化させることに繋がるため、トルコリラの更なる売りに繋がっています。この米国の姿勢に対して、エルドアン大統領は真っ向から対立する姿勢を見せているので、まだまだ米国との関係悪化は続きそうな状況になっています。

 

以上のような理由から、トルコの政治・経済の先行きに対する警戒感が強くなっています。

トルコ国内でも、自国の通貨の信頼が揺らいでいることから、国民がトルコリラを売って外貨を買うような動きが高まっているようです。

上で少し書いたが、トルコリラが売られることによって、他の通貨にも影響が大きく出る可能性は今後も十分にあります。引き続き相場のリスク材料として、注目するべき話題だと思います。

 

イタリア政治問題再び、ユーロは1年振りの安値を更新

今年5月下旬にイタリアにおいて、ポピュリズム政党「五つ星運動」や極右政党「同盟」が支持率を上げていて、先行きの不安からイタリア国債が大暴落してユーロが売られることがありました。

【関連記事】現在のイタリア政治問題について

現在、イタリアは来年の予算を決定するにあたっての会議を行なっています。

そして票を伸ばしている、ポピュリズム政党「五つ星運動」の党首である、ディマイオ副首相が「イタリアの現政権にとって、EUの財政規律を尊重することは重要ではない」などのように財政を拡大させるとのスタンスを今週表明しました。

五つ星運動や同盟は国民の支持率は高いものの、海外投資家からはイタリアの借金を増大させて、将来の財政問題につながるとの見方が強く、このディマイオ副首相の発言を受けてイタリア国債が5月の時のように大きく売られて、合わせてユーロも売られるような場面がありました。

 

今回、ユーロは5月の時のような売られ方はしていないものの、今後、秋に来年の予算を決定する時期に近づいてくると、来年度予算の話がマーケットで強く意識される可能性は十分にあります。

また、イタリアの財政問題のみならず、上述のトルコ問題もユーロにとっては大きい問題です。

地理的に近いこともあって、欧州の銀行はトルコに向けた投資を積極的に行っていることから、トルコリラやトルコ国債の価値が下がると、それは欧州の銀行へダメージを与えて欧州経済に飛び火する可能性があります。

今週だけで150pips近くユーロは売られましたが、引き続きユーロ圏を取り巻くこれらのリスクオフ要因は警戒が必要です。

 

合意なきEU離脱の警戒感からポンドも1年振り安値更新

前週末、1.30付近に位置していたポンドドルは、1.277付近まで下落して週の取引を終えました。
これは、上述のようにトルコリラショックの影響もあるものの、英国単独の理由としてはEU離脱関連のリスクが高まっているからです。
現在英国で話題になっている「合意なきEU離脱」、この問題は今後数カ月にわたって注目されていく問題であり、この離脱交渉に関する議論がスムーズにいかないとまだまだポンドは売りこまれやすいと思います。

【関連記事】合意なきEU離脱とは?

 

来週の為替相場

来週は日本がお盆で欧米も夏休みを取る人も多く、今週以上に市場参加者は減少します。

材料も少ないですが、水曜15日の英国のCPIはじめとするインフレに関する指標は相場を大きく動かす可能性があるかもしれません。

先週末、ドル円は下落予想と書きましたが、引き続き来週以降もドル円は下がりやすいと考えています。

現在、上で書いたトルコ・イタリア・英国のみならず、米国との通商問題から株の下落が続く中国など世界中でリスクオフの円高につながる要因がたくさん存在しています。

【シカゴ先物円ポジション】

また、シカゴの先物のポジションを見てみても依然として円ショート(ドル円ロング)はまだ大きく溜まっていることから、下がるとこれらのポジションクローズも発生しやすいため、110円を割れたりすると、その下げの勢いはさらに加速する可能性があります。

以上のような理由から、来週もドル円は下がりやすい週になると予想しています。