【5/21-5/25】今週の為替 / FXのニュースと来週の相場予測

一橋大学卒。欧州系投資銀行所属、金利・為替トレーダー。

また、個人で2016年より仮想通貨を保有しています。Twitterで色々発信しています。(@c_p_t_k_d

為替(FX)市場

今週のできごと
  • 今週は世界的にリスクオフの流れが加速する中、円高が進んだ
  • イタリアの政治不安からユーロが売られた
  • 英国のインフレ指標の悪化から、ポンドも大きく売られた

 

前週、110.60付近で取引を終えていたドル円は、週明けの5月21日月曜日に上窓を開けてスタート後、4ヵ月振りの高値である111.40まで上昇したものの、その流れは続きませんでした。

5月22日水曜日に110円後半で推移していたドル円は110円を割れてしまい、翌日24日には一時108円台に突入するなど、円高方向に大きく動く展開となりました。そして、最終的に109.40で今週の取引を終えて、前週末から1.2円近く下落する1週間となりました。

ドル円の下落要因

今週ドル円が下がった要因は以下の二つだと考えています。

 

米国の金利上昇が一服

下記チャートは、米国の金利を見る上で最も代表的な指標である米国債の10年金利です。前の週には、2011年以来となる3.12%という水準まで金利が上昇、マーケットの多くの市場参加者から、金利の上昇がどこまで続くのか不安視されていました。

米国金利10年

米国の金利が上昇するということは、わかりやすく言うと、米国に投資する魅力を向上させる効果があることから、米ドルが買われる方向に推移します。

実際、先週まであらゆる通貨に対して、米ドルが大きく買われていたのは、この米金利の上昇が早いペースで進んでいたことによるものでありました。しかし、今週に入って、先週までずっと続いていた米国の金利の上昇が一服しました。これに安心感を得たことから、米ドルの売戻が今週は大きく入ったと言えるでしょう。

そして、特に米金利との連動が大きいと言われている通貨ペアはドル円であるため、ドル円にも売りが多く入ったのだと言えるだろう。

 

イタリアの政治に対する不安からリスクオフの流れとなり円が買われた

後述のユーロの下落理由にもなるのだが、現在イタリアの政治不安に対する警戒感が非常に高まっています。

▼今週のユーロ下落要因について

 

関連記事にイタリアの話をまとめていますが、現在、イタリアは今年3月の総選挙以降、単独で過半数を獲得した政党が存在しない状態になっていて、政治が不安定な状態が続いていました。

今回、大衆の不満に賛同を示すことにより票を集めてきた、9年前にコメディアンのペッペ・グリッロが創設したポピュリズム政党である「五つ星運動」と、移民排斥やイタリアのEUからの離脱などを過去に主張したことのある極右政党の「同盟」が連立政権を樹立させる方向で動いているのだが、これに対するマーケットの警戒感は非常に強いです。

この連立政権は、ばら撒き政策のような、国民の評価を一時的に得ることは出来るかもしれないが、未来の借金を増やしてしまい財政を悪化させるような政策をやる可能性が高いことから、イタリアの国債に怒涛の売りが入っています。

 

イタリアが大変な状況になると、それはユーロ圏全体に影響が派生するでしょう。(そのロジックに関しては、上のリンクに書いています)

そのため、為替はユーロが大きく売られだしていて、世界的に警戒感から株が売られる流れになっています。そしてこのイタリア発のリスクオフというものが、為替を円高に動かしている要因にもなっています。

 

ユーロの下落

上で述べた通り、イタリアの政治に対する警戒感から、ユーロドルは前週末1.177付近に位置していたが、今週は1.165付近まで下落して取引を終了しました。

 

ポンドの下落要因

ポンドも今週は大きく下落、前週末に1.347付近に位置していたが、今週は1.33付近で取引を終了しました。

下落した理由は、ユーロと連動性が高いから売られたという理由もあるものの、一番の下落要因は経済指標の悪化です。

水曜日には、消費者物価指数や小売売上高など、インフレ系の指標の発表が複数あり、これらの指標はすべて予想を下回る結果となりました。これは思ったよりも、英国国内の消費は増えておらず、消費が増えていないため物価が上昇していないという状態を意味している。

物価が上昇する状況ならば、その物価の上昇を抑えるために中央銀行は国内の金利が上昇するような金融政策を実施するのが一般的です。(金利が上昇すると、お金を借りて消費をするという意欲が減退するため、物価上昇率を抑える経済効果があるため)

しかし、今週のみならず最近の英国の経済指標は、インフレ系指標(物価があがっているかどうかを判断できるような指標)は非常に悪いことから、まだ金利を上昇させるような取り組み(利上げ)を実施できるのはまだまだ未来だと考えられている。

利上げを行うのが、まだ先と判断されると、通貨の投資魅力が減退することを意味しているため、その国の通貨は売られるのが一般的であるため、ポンドは4月以降売られる状況が続いています。今週も、経済指標が悪化したことによって、ポンドは大きく下がる1週間になってしまいました。

 

来週以降の相場に関して
ドル円は下がる可能性が高いと考えています。米国と中国の貿易の問題もまだ解決したとは言い切れず、イタリアの政治の問題もすぐに解決するようなものとは言い切れないでしょう。

また、市場参加者が考えている米国の年内の利上げ期待は、米国の中央銀行であるFRBのメンバーが考えているよりも、高すぎると考えています。そのためドル円が下がる可能性が高いと考えています。

個人的には108円ぐらいに到達するのは時間の問題だと考えている。また、今週はユーロやポンドなどの欧州通貨が大きく売られたが、これらの通貨が大きく反発するのも難しいと考えている。

▼今週の仮想通貨市場のまとめと来週の相場予想