仲値(なかね)を使ってトレードする方法②

今回はこの仲値というものをトレードに活かす方法について解説をしていきたいと思います。

また、日本人の投資家がトレードするうえでよく話題に出てくるゴトー日(五十日)についても解説していきたいと思います。

仲値トレードとは

仲値とは何かについて、前回の記事で解説を行いました。

▼仲値とは?仲値の基本的な仕組みについて

 

大手の金融機関や大手の事業法人などが大きな金額の為替取引を実施する時に、その取引相手になるのは銀行です。大手の金融機関は、保有する現金を海外の有価証券に投資するために、外貨を買ったり外貨を売ったりの為替取引を実行します。また、事業法人も業務に関わる為替の取引を実行します。

 

具体的に言うと

  • 輸出企業:海外で商品を売って発生した外貨を円に戻すため、外貨売り円買いを行う
  • 輸入企業:海外の商品を仕入れるために、外貨買い円売りを行う

このような為替取引を銀行相手に実行します。

 

そして、こういった大口の為替取引を実行する主体は銀行に対して、成行や指値注文ではなく、仲値取引をオーダーすることが多くあります。

仲値で取引をするというのは、9時55分に各銀行が決定する仲値で売買を執行するように、事前に銀行に委託する取引です。銀行の為替デスクは、朝から9:55の仲値を決定するまでの時間で、顧客から仲値での注文オーダーを預かります。

 

例えばですが、様々な顧客からの仲値取引を集計した結果

  • 仲値でのドル円売り1000本(1本100万米ドルなので10億米ドル)
  • 仲値でのドル円買い1500本(1本100万米ドルなので15億米ドル)

となったとします。この場合は、売り1000本と買い1500本を合算すると、顧客の買い500本が上回ります。

 

そのため、売りと買いで重なる1000本に関しては、売り手と買い手を相殺することにより顧客の注文は執行されます。

そして、その重ならなかった顧客の買い500本だけが、9:55からの銀行の為替トレーダーのポジションになります。いわゆる銀行にとって「顧客の買い超500本」という状態です。

 

銀行の為替トレーダーの取引

ではこのような顧客の取引状況になる時に、仲値注文のオーダーを引き受ける銀行の為替トレーダーは仲値が決まるまでの間にどのような取引を行うのでしょうか。

 

銀行にとっては、9:55に決まる仲値のレートで顧客に500本(5億米ドル)買われていきます。そのため、この仲値が決まるまでの間により安いレートでドル円のロングを作ることが出来れば、「9:55までの間に安いレートで仕込んだドル円を、高い値段で顧客に売り込むことが出来ます」

銀行は仲値で顧客に買われると考えると、仲値までの時間に積極的にロングを積み上げていくよう戦略をとることがあります。
大きな銀行は個人投資家とは比べようにならないほど大きな金額のポジションを使ってトレーディングを行っていることから、自らの買いによって相場を9:55に向けて押し上げたり押し下げたり影響を与えることが出来るからです。
顧客に対して自分が9:55までの間に買い上げてきた値段よりも高い値段で売りを約定することにより、収益を狙うためにこのようなことをやるのです。

逆に、仲値で顧客の売りの方が大きくなりそうならば、仲値むけてショートポジションを積み上げていくことがあります。自らの売りによって9:55の段階で相場を下に下げることが出来たならば、高い値段でショートを作っておいて、顧客から安い値段で買い戻して収益を得ることが出来ます。

 

日本時間の9:00頃から、各銀行には顧客からのその日の仲値取引のオーダーが集まってきます。仲値の決定する9:55までの時間は、それらのオーダーを考慮しながら銀行のトレーダーが戦略的にポジションを構築する時間になります。

「仲値に向けて銀行がドル円を買い上げる」
「仲値に向けて銀行がドル円を売り下げる」

なんて表現が使われたりするのは、こういったことが背景にあるからです。9:00台に為替相場を見る時は、このような戦いが裏で行われていることを想像して相場を見てみるといいと思います。

 

仲値取引を行うメリット

実際にマーケットで非常に大きな金額を一度に成行で売ったり買ったりしようとすると、銀行はある程度バッファを取ったレートでしか取引相手になってくれません。

なぜならば、大きな金額をマーケットで一度に売買するとマーケットの金額が大きく動いてしまうからです。そのため何百億といった金額を、ドル円が110.20の時に銀行に売ろうとすると、銀行から提示されるレートは111.10とかになったりします。

しかし、仲値を使うと、売りの注文と買いの注文を相殺させることによって、9:55の為替レートで相場に大きなインパクトを与えることなく取引を執行することが出来ます。

このようなメリット等があることから、仲値で銀行に為替注文をオーダーする金融機関や事業法人が多く存在しています。

 

ゴトー日とは?

仲値において、

  • 輸出企業は、海外で商品を売って発生した外貨を円に戻すため、外貨売り円買いを行う
  • 輸入企業は、海外の商品を仕入れるために、外貨買い円売りを行う

このような取引を行います。

そして、毎月5日、10日、15日、20日、25日、30日の5の倍数がつく日は、通称ゴトー日と言われています。輸入企業が、海外に対する外貨の支払いが必要になる日であり、外貨が不足する日であることから、5の倍数のつく日は、円を売って外貨を買うようなフローが多く入りやすいと言われています。

そのため、FXの世界ではゴトー日はドル円はじめクロス円は仲値が決定するまでの9:55までの間に上昇しやすいと言われています。

 

【検証】ゴトー日に円安になるのか

実は、下記リンク先に最近のゴトー日の9時から9時55分までのドル円の値動きをまとめてみましたが、ゴトー日だからと言って上がるとは言い切れません。

足元2年間のゴトー日について、9:00から9:55の時間にドル円が上昇したかを確認してみたところ、むしろ下がっている日の方が若干多いという結果になりました。

▼ゴトー日に円安になるのか、検証結果

 

よく日本の個人投資家の間で、「ゴトー日だから朝ドル円をロングしてみた」のような会話がされているのを聞きますが、はっきり言ってゴトー日で上がるというデータの裏付けもないので、ゴトー日だからといって円安方向にポジションを傾けるのは非常に危険だと思います。

※補足ですが、昔とは違って、最近の輸入企業はゴトー日に限らず、毎日たんたんと必要な外貨を買うので5の倍数が付く日に取引が偏ることはないそうです…。

 

仲値トレードをする方法

ドル円を例にとった時、仲値が発表される前の時間でドル円が上がるのか下がるのかは、銀行に注文を出す輸出企業のドル売りと輸入企業のドル買い、そして機関投資家である金融機関のトレードを集約して、売りの方が大きければ下がるし買いの方が大きければ上がると言えます。

各取引主体は巨額な取引を一日で実施するというよりも、同じ取引を何日にもわけて実施することが多いです。

例えば、ある輸出企業が海外での商品の販売が好調な状況が続けば、外貨を売って円を買い戻す量も日々増えるでしょう。仲値で銀行顧客のドル売りが多い時期は続く傾向にあり、ドル買いが多い時期も続く傾向にあるでしょう。

 

そのため、仲値トレードを実施するならば、最近の日本時間の9時から9時55分までの時間が、円安方向に推移することと円高方向に推移することのどちらの方が多いのかを頭に入れるのが大事です。

日本時間のこの時間に、ドル円が上昇することの方が多いようならば今日も上がりやすいと考えてトレードを行えばいいだろうし、ドル円が下落することの方が多いならば下がる傾向にあると考えてトレードを行えばいいと考えています。

仲値の注文を受ける銀行の為替トレーダーも、

「最近は仲値の売りが多いなぁ、今日も下がるかもしれない…」

のように先入観を持って、自身のポジションメイクをやっているものだと思いますからね…

ホルスタインの投資研究所では、1週間に一度のペースで直近の10営業日、20営業日、50営業日、そして100営業日の日本時間9:00から9:55にかけて、ドル円が上昇したのか下落したのかをまとめて、最近の仲値での方向性を分析を行ってます。

この時間帯にトレードするための参考になればいいなと考えています。詳細は、以下のリンクになります。

▼最近の仲値でのドル円の動きを毎週分析しています