物価と為替の関係/物価が経済に与える影響を解説【経済の基礎知識】

本日は物価上昇率とそれが経済に与える影響(インフレ、デフレの影響)について、なるべく初心者の方でも理解できるよう、わかりやすく解説したいと思います。

物価上昇率とはモノやサービスの値段がどれくらい上がったかの指標

まず、物価上昇率とは、前月もしくは前年と比べて、消費者が購入するモノやサービスの価格がどれくらい上昇したのかをパーセントで表した指標のことです。
物価上昇率を測る指標は色々ありますが、多くの場合、消費者物価指数(Consumer Price Index, CPI)のことを指します。

これだけでは取っ付きづらいので、具体例を出して説明します。
例えば、この世界には牛丼しか商品がないとします。
去年、牛丼一杯の値段は250円でした。今年は300円に値上がりました。
牛丼の値段が前年に比べて50円上がったわけですが、この場合の物価上昇率は前年比20%上昇になります。

物価上昇率が私たちの生活に与える影響とは

この物価上昇率は、為替、国の経済状況、ひいては私たちの生活に多大な影響を与えます。

まず物価と為替の関係ですが、

「物価上昇→物価の上昇を食い止めるために金利上げる→魅力が上がって通貨高」
もしくは、
「物価下落→物価の下落を食い止めるために金利下げる→魅力が下がって通貨安」

このようなメカズニムで物価は為替に影響を与えます。
(金利と為替の関係についてはここで書くと話が長くなるので、こちらをご参照ください。)

そして、物価上昇率が上がりすぎたり、下がってしまったりすると、私たちの生活は非常に苦しくなってしまいます。

なぜ生活が苦しくなるのか?
それは過度なインフレーション(インフレ)と、デフレーション(デフレ)のためです。

(インフレとは、物価が持続的に上昇する状態、一方でデフレとは物価が持続的に下落していく状態のことを意味しています。)

デフレは経済の低迷を招く

日本はバブル崩壊以降の90年代から「失われた20年」などと揶揄されることもあるぐらい景気が低迷しました。
そしてその景気が停滞した理由ですが、一般的にこのデフレが原因と言われています。

デフレとは物価が持続的に下落していく状態のことでした。
一見、物価が下がると出費が減って生活が豊かになるなど、ポジティブなことをイメージするかもしれません。
私も子どもの頃、マクドナルドのハンバーガーが50円代まで値下がりしてハッピーな気持ちになったのを覚えています。

しかし、実はデフレは経済を低迷させる恐ろしい要因になります。
これは非常にネガティブなことです。

デフレは消費の減少と物価の低下を招く

なぜかというと、
物価が下がっていると人々は

「おっ!物価下がっているやん!これからもっと安くなるまで買わなくてええんやな!」

と思うようになります。

そうなると…足元の消費が減ってしまいます!
足元の消費が減ってしまうと商品を販売する企業は大変です。
以下の2つのようなことが生じてしまうからです。


売上が十分に上がらないことから、企業は従業員の給与を下げざるを得ません。
給与が減るということは、従業員は以前に比べて相対的に消費する余裕がなくなってしまいます。
これが更なる消費の減少を招いてしまいます。


①の通り、消費者は商品を買う余裕がなくなってしまいますが、企業は会社存続のため、それでも商品を売らなくてはいけません。
そのために、更なる値下げを行って少しでも売上を上げようとする場合があります。
このようにして、消費の減少を伴いながら、物価の低下が更なる物価の低下を招いてしまうのです。

①と②をまとめると、
デフレは更なるデフレを引き起こします(デフレスパイラル)。
そして企業は販売価格を下げたため利益として会社に残る部分が減少してしまい、収益性の低下を招いて経済活動は縮小してしまいます。

デフレの脅威:利益が減った、給与も減った

典型的な例として2001年の牛丼があげられるかと思います。
吉野家とすき家と松屋が牛丼並盛り一杯を400円ぐらいから値下げ合戦をスタートして250円ぐらいまで下がりましたよね!

世の中みんなのお金なくなっているため、生き残りを懸けて価格を下げる戦略を取りましたが、結果的には牛丼一杯売った時の利益を下げることに繋がってしまいました。

実際、日本はバブル崩壊以降はデフレが慢性化してしまい、上述のように企業が儲からなくなりました。
1990年から2010年までの20年で国民の平均年収は約450万円から400万円近くまで下がって生活レベルが大きく落ち込んでしましました。

ここまでの規模のデフレ→経済停滞となった国は日本ぐらいしかないのですが、デフレになると経済に深刻なダメージを与えるため、
どこの国も日本の失敗から学んで、物価上昇率がマイナスにならないようにかなり神経質になって対策を考えています。

結論

デフレは危険!!

過度なインフレは経済に混乱を引き起こしうる

では、逆に物価が上昇するインフレ局面だと景気はよくなるのでしょうか。
物価が上昇している局面において、上のデフレの例とは逆で消費意欲が高まります。

「あっ!物価が上がっている!もっと上がる前に早く買わなきゃ!」

と人々は考えることから、消費が増えて物価が上がっていきます。
すなわち、消費の増加を伴って、物価の上昇が更なる物価の上昇を招きます。

ほどよいペースで物価が上がるようなら良いのですが、急激に物価が上がると(過度なインフレ)、それは非常に危険です。
個人の生活は圧迫されますし、企業のコストも高まってしまいます。
(スーパーの品々の値段が10倍になったと想像してみてください。今日から1日1食も食べられません。)

また、日本のバブル期や、米国のリーマンショックのきっかけとなったサブプライムローンのようなことは主に不動産の過度なインフレによって生じてしまいました。
このように、過度なインフレは経済に悪影響を与えてしまいます。

結論
過度なインフレは危険!!

程よいインフレなら問題ない

なお、過度なインフレこそ危険ですが、経済の一番良い状態はほどよく物価が上がっていく状態です。
2012年に自民党安倍政権が誕生して以降、日銀は「物価上昇率2%」を目標にしています。
これは物価がほどよく上昇していく流れを作ることによって、
消費意欲を喚起させて、長く続いたデフレを脱却して経済を成長させていくことが狙いです。

過度なインフレとデフレが起こらないよう物価をコントロールする

さて、ここまでの解説で
・物価は消費の影響を受ける
・物価が上がると早く買おうとする人増えるので、消費意欲が上がり更に物価が上がる
・物価が下がるとまだ買わなくていいやと思う人が増えるので、消費意欲が下がり更に物価が下がる
ということは理解してもらえたかと思います。

消費が何によって変化するのか、どうすれば物価上昇率をコントロール出来るのかについては色々あるのですが、
日銀や米国FRBなどの中央銀行が行う「利上げ」や「利下げ」はその手段の一つです。

別の記事で、利上げ及び利下げが私たちの生活や為替に及ぼす影響を解説しましたので、興味のある方はぜひご一読ください。
為替レートにも大きな影響を与えるため、FXをされている方にはマストな内容だと思います。