なぜトルコリラは下落しているのか、その原因・要因を徹底解説(下)

今回の解説においては、

  • ここ数年、トルコリラの価格が下落し続けていたのはなぜか
  • なぜ2018年になってその下落に拍車がかかったのか
以上のように、2段階に分けてトルコリラが下落した要因の解説を行ないます。

なお、この記事は2ページ目になります。
いきなりここに来た方は、まずは(上)からお読みください。

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なぜ2018年になってその下落に拍車がかかったのか

さて、1ページ目で述べた理由からここ数年間で売られ続けてきたトルコリラですが、2018年になってからその下落のペースは更に加速しています。
2018年になってから更に激しく売られるようになった理由は、米国との関係悪化が挙げられます。

1ページ目でシリア北部のクルド人組織とトルコが衝突していると書きましたが、このクルド人組織に米国が武器を供与するなど、軍事的な支援をしていることもあってトルコの反米感情が高まりました。
その後、トルコはロシアからミサイルを購入したり、トルコ国内の米国領事館の職員を逮捕するなどしたため、米国もトルコに対して対立を強めてきました。

そして、今年の7月以降、米国人牧師をトルコが拘留していることをきっかけとして、米国がトルコに経済制裁を課したためトルコリラが大きく売られました

現在、2016年にクルド人グループが起こしたテロに関与したという理由から、キリスト教福音派の牧師である米国人のアンドリュー・ブランソン氏をトルコ政府が軟禁しています。
米国はトルコに対して、この牧師を解放するよう要求しましたが、トルコ政府はその要求を棄却しました。
その結果、米国は2018年8月にその報復措置としてトルコからの鉄鋼やアルミニウムの輸入関税を2倍にするなどの経済制裁を強めるという手段に出ました。

米国の経済制裁がトルコ経済に与える影響が甚大なものなると金融市場が解釈したことから、トルコリラの大暴落につながったのです。

今後トルコリラはどうなるのか

元々、インフレ率の上昇が問題になっているトルコにとって、通貨が安くなると輸入物価がさらに高騰してしまうため、経済への悪影響が非常に大きくなります。

そのため、2018年8月の大暴落の直後、

  • エルドアンがトルコリラに対して口先介入を何度も繰り返す
  • トルコリラを空売りしにくくするためにスワップ取引に規制をかけたり、銀行に対して通貨の流動性の供給を行なったりなどの通貨防衛策を実施
  • カタールのトルコに対する投資や、フランスとの経済協力の約束

といった、トルコリラを下支えするようなアクションを行なって、いったんトルコリラの下落は止まりました。

しかし、根本的なトルコリラが売られる構造は何も変化はしていません
引き続き、経常収支の赤字は大きくインフレ率の上昇は続いていて、地政学リスクの緩和も見込む事は出来ません。
また、米国との関係悪化に改善の兆しは全く見えません。

日本人の個人投資家は、トルコリラの値ごろ感や高金利に惹かれて、トルコリラ建て債券を購入したり、スワップポイント狙いでトルコリラを逆張ってロングするような投資行動を多く取っていると思います。
現在のトルコの置かれている状況を踏まえると、どこまで価格が下がったら下げ止まるなどと理論的に言い当てることは不可能に近いと個人的に考えています。

新興国通貨は下がり出すとほとんど無価値になるまで価格が下落する可能性が十分にあります。
そのため、トルコリラは依然としてアップサイドよりもダウンサイドの方が大きいように感じてなりません。
長期的なポジションをロスカットすることは非常に勇気が必要ではありますが、もし今トルコリラロングを持っているのであれば、早いうちに逃げておいた方がいいのではないかと考えています。

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