米国が年内に2回の利上げが出来ない場合のドル買い巻き戻しリスクとは?(上)【最近の相場傾向】

2018年に入ってから、ドルは他の通貨に対してよく買われ、米国経済も非常に好調な状況が続いています。
現在、マーケットでは経済が堅調であるが故、米国は今年4回の利上げをするだろうと予想しています(2回は3月と6月に既に実施済み)。そしてまさにこれが足下の要因になっています。

今回は、年内に残り2回の利上げが本当にできるのか、そしてもしも利上げ期待が剥落したらどうなるのか、どのようなケースで利上げ期待は剥落するのかを考察してみました(米国が年内に2回の利上げが出来ない場合のドル買い巻き戻しリスク)。
少し難しい内容も含みますが、適宜説明や説明のためのリンクを挿入していますので、初心者の方もぜひご一読ください。

最近のドル高の整理

2018年になってからドルインデックスが大きく上昇している

2018年初以来のドルインデックスのチャート(tradingview)

上記チャートはドルインデックスのチャートです。
ドルインデックスとは一つの通貨に対してではなく、複数の通貨に対してのドルの価格を表す指標です。

詳細の説明は下記リンクに譲りますが、ドルが総合的に様々な通貨に対して高いか安いかを知ることの出来る指標です。

【用語集】ドルインデックスとは

さて、上記チャートを見ると、2018年になってからドルが大きく上昇していることが読み取れると思います。
実際に個別通貨で見てみても、ユーロドル(EIRUSD)やポンドドル(GBPUSD)、オージーストレート(AUDUSD)やキウイドル(NZDUSD)など、最近1年振りの安値を更新しています(これらの通貨に対してドル高が進んでいます)。

なぜ2018年、特に4月以降にドルが買われる流れになったのかというと、主要先進国が何かしらの問題を抱える中、米国経済は大きなリスクオフにつながるような材料も無く、米国経済が世界で一人勝ちの状況になっているからです。

好調な米国経済を見て利上げの期待が高まっている

最近6か月のS&P500インデックスのチャート(楽天証券)

 

上記チャートは米国の株の代表的指数であるS&P500 インデックスです。

他の国の株価がこの半年の間で軒並み下落している中、米国だけは堅調に推移しています。
現在、欧州や英国、オーストラリア、ニュージーランドに日本などの先進国は、年初に思い描いていたよりも経済が好調ではなく、消費が増えずに物価上昇率も目標のペースには届いていないことから、現在の低金利政策を長く維持しなければならないという状況が続いています。

その一方で、米国だけは国内消費が堅調であり、順調なペースで物価も上昇していることから、年初に予想しているよりも早いペースで利上げを行なうことが現在見込まれているのです。

【FXの基礎知識】利上げとは?利上げが私たちの生活や為替に及ぼす影響を解説

そもそも、利上げと言うのは上記リンクで詳しく解説していますが、経済が好調で消費が増えることによって物価上昇率が堅調に推移している時に実施するものです。
そして、利上げを行なったときには、その国に投資する期待リターンが上昇するため、その国の通貨は基本的には上昇します。

様々な先進国が年初に思い描いていたよりも利上げのペースが遅くなるとの見通しが広がる中、経済が好調な米国は予想よりも早いペースで利上げが進んでいくと期待されるようになりました。
これが米ドルがここ半年で大きく上昇した理由だと言えると思います。

本当に今年、あと2回利上げ出来るのか

米国はリーマンショック以降、FF金利(米国の 政策金利 )を0.00-0.25%という歴史上最低水準に置いていました。
そして、2015年12月を皮切りに、そこから0.25%ずつ計7回にわたって利上げを行なった結果、現在はFF金利を1.75-2.00%という水準に設定しています。

当サイトでは、市場参加者が予想する、米国が今後のFOMC(米国の中央銀行FRBが金融政策を話し合う会合)において利上げを行なう確率を日々下記ページで計算していますが、

【毎日更新】各国リアルタイム利上げ予想確率

2018年8月20日現在、FRBの今後の利上げのペースは以下のように見込まれています。

FOMC開催日FF金利利上げ確率
2018/09/261.75%-2.00%
→2.00%-2.25%
90%
2018/12/192.00%-2.25%
→2.25%-2.50%
55%
2019/03/202.25%-2.50%
→2.50%-2.75%
27.5%

上記表のとおり、9月に今年3回目の利上げを実施する可能性は90%織り込まれていて、12月に追加で今年4回目の利上げを実施する可能性が55%織り込まれています。

9月26日のFOMCで現在の1.75-2.00%という水準から2.00-2.25%という水準に利上げが実施されるのはほぼ確実と言えるでしょう。
市場が強く利上げを織り込んでいる中で、万が一にもFRBが実際に利上げを実施しないとなれば、金利市場や為替市場が大きく変動してしまう可能性があります。
すなわち市場に大きな混乱が起こる可能性があるということです。

そのため、ここまで強く織り込まれていることを踏まえると、9月は利上げを実施することは既定路線と言えます。

しかし、12月に利上げが実施出来るかどうかは現段階では不透明な状況になっています

少し長くなってしまったので、記事を分割しました。
続きは下記リンクからお読み下さい。なぜ、12月の利上げが不透明な状況になっているのか、そして12月の利上げ期待が剥落した場合のあるリスクについて解説しています。