一橋大学卒。欧州系投資銀行所属、金利・為替トレーダー。
また、個人で2016年より仮想通貨を保有しています。Twitterで色々発信しています。(@c_p_t_k_d)
仮想通貨市場
前週末81.5万円付近で取引を終了したビットコインは、5月29日に一時は4月前半以来の水準である77万円台まで下落したものの、その後は上昇して83万円程度まで反発して週末を迎えました。
- 2014年に破綻したマウントゴックス社が債務返済のため大量のビットコインを売る可能性があると懸念されていること
- 複数のアルトコインにおいて、ブロックチェーン書き換え等の不正流出が相次いでいた
- 米司法省の価格操縦への調査をはじめ、米国での規制強化の報道が続いていた
詳細は、下記関連記事先週・先々週末のまとめに書いていますので割愛させて頂きます。
▼マウントゴックス社の債務返済とは?
▼ブロックチェーンの不正流出・米司法省の価格操縦とは?
このようなことが原因で、ゴールデンウィーク以降は仮想通貨の下落が続いていて、今週前半もその流れは継続して、週初から仮想通貨の価格は下落する流れとなりました。
そして、5月29日に、今週の安値をつけた原因は「イタリアの政治不安から世界的にリスクオフの流れになった」ことが大きかったでしょう。
▼現在のイタリアの政治状況について詳しくまとまっています
現在イタリアでは、ポピュリズム政党と極右政党が議席を拡大していて、この二党が連立政権を作って議会の過半数を獲得する可能性が高まっています。
この連立政権が誕生すると、国民の支持が上がるかもしれないが、政府支出を度外視したような政策を実施することにより、財政が拡大してしまい(国の借金が増えてしまい)、イタリアのみならず、欧州はおろか世界的な経済の不安要因になるのではないかと5月以降に警戒感が強くなっている。
そして、今週火曜5月29日は、こういったことを背景にイタリアの株や国債が大暴落したことから、5月半ばに111.50付近まで上昇していたドル円は108.10まで下落、23000まで上昇していた日経平均も21000円を割るなど、世界的な株安・円高の流れが加速しました。
最近は、リスクオフの流れになると、仮想通貨のポジションを縮小させるような流れも強いことから、この局面で仮想通貨が大きく下落して、主要仮想通貨は今週の安値まで下落したのだと考えています。
しかし、仮想通貨価格は、5月30日以降に反発を始めた。中国の習近平国家主席が「ブロックチェーン技術は今後の中国の科学技術に発展にとって非常に重要」と述べたことが、今週の最大の上昇要因ではないでしょうか。
中国は世界トップクラスの仮想通貨を保有する国ではあるものの、2018年以降、規制が強化するような報道が非常に多かったため、昨年に比べては中国人の過熱感は低いでしょう。
昨年の上昇、そして今年前半の下落は中国要因も非常に大きく、もし中国政府が仮想通貨に対してより寛容な姿勢になってくるならば仮想通貨は大幅に上昇する可能性があるかもしれないです。
そして上で書いたイタリアが震源地となった世界的リスクオフが、5月30日以降はやや緩和したことも、ビットコインを中心に仮想通貨価格を押し上げた要因になったのではないでしょうか。
また、今週1週間を通すと、個別の話は割愛するが、IOTA、EOS、Cardanoなどの世界的に時価総額の高い仮想通貨に、価格が上昇するようなポジティブなニュースが出たこともあり、ビットコイン以上にアルトコインへの資金流入があったことも価格上昇の大きな要因だったと言えます。
来週以降の仮想通貨価格
Twitterや当サイトで、ゴールデンウィーク以降は仮想通貨の価格をずっと下落と言い続けてきましたが、今後は上昇が継続すると考えています。
5月に続いた悪いニュースは消化しきったと考えているため、悪いニュースが出てこないならば上昇は継続する地合いになっていると予想しています。
そして、シカゴの投機筋(ヘッジファンド等)によるビットコインのポジションであるが、恒常的にショートポジションが溜まっていて、年明け以降は一度反発がはじまるとショートしていたポジションの買戻しを巻き込み上昇局面が長く続くことが多いです。
ビットコインのチャート的に底を打った可能性が高く、反発するならば上昇の時間も長くなりやすいことから来週は上昇するのではないだろうか。